fuchi's diary

都内在住のゲイの感じたこと、考えたこと

ブログを始めたきっかけ その2

ブログを書き始めたきっかけをもう一つ。

僕が、男の人を好きになると気付いたのは10歳位のことだけど、その頃は、ちょうど家庭用パソコン(Windows 95)とインターネットが普及し始めた頃だった。そして、僕は、幸運にも、学校から帰った後の自宅で、家族の目を気にせず自由にパソコンを使うことができる環境にいた。

 

性的な好奇心のおもむくまま、同性愛関係の単語を使って検索してみると、ゲイの人が作ったホームページがいくつもあって、自分と同じように、男の人を好きになる男の人がいることにビックリした。

だけど、まだ子どもだった僕にとっては、自分の知らない大人がつくったゲイ向けのホームページは、ドキドキするけど少し怖くもあった。それでも、怖さよりは性的な好奇心の方が優って、同性愛関係の単語での検索を続けていた。(ブラウザから閲覧履歴を消すのが夕方の日課だった。)

 

そして、ある日の検索結果で、偶然、とあるゲームの主人公の男の子と、その主人公のライバルの男の子との恋愛模様を描いた小説、今でいうBL小説に出会い、出会ったその日からドはまりした。

BL(その頃は男の子同士の二次元創作パロディは「やおい」と言われていたけど、ここではBLと呼んでおく)に熱中した理由は、見たことも聞いたこともない男の人同士の体験談よりも、元々好きだったゲームやマンガに登場する、自分と同じ位の年齢の男の子同士の恋愛の方が、圧倒的に親近感を覚えやすかったことが大きいと思う。

ゲームやマンガに登場する自分のタイプの男の子が、男の子を好きになる世界は、本当に夢のように楽しくて、僕は、男の人を好きになる、という感情を主に二次元の世界の妄想で満たしていた。

自分の初恋がいつだったのか、正確には覚えていないのけど、僕の初恋相手は、このゲームの主人公の男の子だったかもしれない。

 

ただ、現実の世界でも、小学校から高校までの間に、同級生の男の子を好きになることがあった。

どうも、僕は、誰かと一度仲良くなって気を許すと、その人に対して、周りから見て分かりやすく「懐いて」しまうらしい(社会人になってからは、特に気を付けているつもりだけど、それでも一度指摘されたことがある)。

自分では抑えているつもりでも、僕が好意を寄せている彼と一緒にいると、ホモじゃないかとクラスメイト達がからかってくる。そういうことがあると、僕は、大好きな彼に迷惑が掛からないよう、一緒に居たいという気持ちを押し込めた。そうすると、友達としても一緒にいることが段々ぎこちなくなって、結局疎遠になってしまった。

こんな風に、僕は仲良しの男の子を好きになって、しばらくすると周りからのちょっかいに怯えて友達としても一気に疎遠になってしまう、という体験を思春期に何回か繰り返した。

そして、大好きな相手から離れるときに感じる寂しさは、二次元の男の子同士の恋愛を妄想することで解消していた。 だから、僕にとってBLは、男の人への性的関心を二次元の世界に振り向けさせ、現実の世界でゲイであることを意識させないための「フタ」でもあったけど、男の人を好きになる自分にとっての救いでもあった。

 

振り返ってみると、僕が恋愛対象として好きになった相手は、必ず友達として仲良くなって、一緒にいることの多い人ばかりで、カッコいいけどたまに話す位しか関わりがないクラスメイトを恋愛対象として好きになることはなかった。カッコいいなと性的魅力を感じることはあったけど、それは恋愛感情というより、芸能人を好きになる感情の方に近かった。

それと、好きになった友達との距離の近さをからかわれたことはあったけど、単発的で、相手もおちゃらけた感じだったから、深刻ないじめに至らなかったのは幸運だった。ホモだとからかわれることは気持ちの良いものではなかったけど、もし継続的ないじめの対象になっていたら、僕の人格形成は全然違うものになっていたと思う。

 

前置きが長くなったけど、ブログを始めたきっかけの話に戻ると、ブログを始めるにあたって、「BLが救いだったこと」を書くゲイのブログって良いのだろうかと不安になった。

今はどうなのかわからないけど、昔は、少なくともBLを作る側では、現実の同性愛とBLは似て非なるものだという認識が多数派だったと思う。僕がBLを読み始めた頃は、BLは個人のホームページに掲載されていることが多くて、その個人のホームページの入口には大抵、目立つところに「男性は入室禁止です!」と書いてあることが普通だった。

BLに夢中だった僕は、この類の警告は無視せざるを得なかったけど、BLをゲイの人に語ることは避けるべき、という固定観念が残っていたのだと思う。

だから、BLが好きなゲイがいていいんだろうかという不安があった。この不安を解消する手がかりがないかと調べてみると、意外とすぐに、BLに救われたと書いている同性愛者の小説家を知ることができた。

 

togetter.com

 

BLに救われたという箇所に加えて、「こういう同性愛者もいる」というフレーズにも勇気をもらった。さらりとしたフレーズだけど、色々な同性愛者がいるのだから、BLが好きなゲイがいてもいい、僕は、自分のことを素直に書こうと思うことができた。

浅原ナオトさんの『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』はまだ読んだことがないから、できるだけ早く読んでみたい。

 

ちなみに、中学、高校、大学と自分が年齢を重ねるごとに、BLで妄想するキャラクターの年齢も上がっていって、少年ジャンプに出てくるキャラクターで妄想していたのが、そのうち青年雑誌のマンガや大学生・社会人もののBLも楽しむようになった。

大学生になると、お金と時間がそれまでより自由に使えるようになったのと、「腐男子」という言葉ができ始めた頃で、男性がBLを読むことを受容する雰囲気がBL界隈でできつつあったから、より一層BLの世界にのめり込んでいた。

今はだいぶ落ち着いたけど、BLや、BLを連想させる作品は今でもたまに読んでいる。(BL以外の)小説、マンガ、ゲーム好きも続いている。そのうち、このブログで読んだ本の感想を書きたいなと思う。