fuchi's diary

都内在住のゲイの感じたこと、考えたこと

『オトコに恋するオトコたち 誰も教えてくれなかったセクシュアル・マイノリティの世界』

 

 

薔薇族』2代目編集長が「当事者でないノンケでもLGBTでも安心! みんな楽しめるゲイ・エッセイ」として書いた本ということで、ゲイについてあまり知識のない段階で読むのにちょうどいいだろうと思って読んでみた(表紙がBLそのものなイラストになっていて、そこに惹かれたというのもある)。

 

読み進めていくと、戦後から平成までの歴史を振り返りつつ、同性愛、バイセクシャル、トランスジェンターを中心にセクシュアル・マイノリティ(性的少数者。略してセクマイ)の基礎的な知識が分かりやすく書いてあった。作者の意見も色々な箇所に書いてあるけど、僕にはうなずけるものが多かった。

 

軽妙な文体で書かれているのですごく読みやすく、楽しみながらセクマイについての基礎知識を得られるところが良かった。同性愛とかトランスジェンダーの知識を伝えようとする本は深刻なトーンのものが多いんじゃないかと思うけど、この本は伝えるべき知識やこれまで当事者が置かれてきた状況は冷静に伝えつつ、おちゃらけた表現も織り交ぜながら書いてあって、そこのバランスが絶妙だった。やっぱりモノカキを本職にしてる人の文章は上手だ。

 

この本で特に印象に残ったフレーズはここ。

「Gであることの共通点」なんて”性交”にまつわるいくつかしかなく、センスがどうとかいうような話はセクシュアリティではなく”パーソナリティ”の領域なんですから。 

 ゲイ=男として男を性的に愛せる男。その共通点はあるけれど、それ以外の、ゲイ一人ひとりがどんな生活(仕事だったり趣味だったり)をしていて、どういう外見・性格の人を好きになるか、そこは”パーソナリティ”の領域で人それぞれ、というのは大事なことだ。

ゲイという大きなくくりで考える場面もあれば、一人ひとりの個性・感性を大事にすべき場面もある…こう書いてみると当たり前に思えるけど、意識しててもこれを忘れてしまうことはありそうだ。

 

ゲイ自認したてのタイミングでこの本を読むことができて良かった。宣伝文句に偽りなしの一冊でした。