fuchi's diary

都内在住のゲイの感じたこと、考えたこと

ゲイであると自認すること

 

はるたろーさんが最近書いた記事を読んで、「ゲイであると自認すること」についてあらためて考えてみた。ゲイであることをいつ自認するかは人それぞれだ。僕は、30歳を過ぎてゲイであると自認したけれど、10代で自認する人もいれば20代で自認する人もいる。40代以降で自認する人もいる。「自認」という言葉の使い方も人それぞれだし、色んな自認の仕方があると思う。それを前提とした上で、僕自身の経験を振り返りながら考えてみると、自認に2つの段階があると想定すると、整理されるように思っている。

 

一つ目は、自分がゲイである可能性に気付くこと。
二つ目は、自分がゲイであると受け入れること。

 

僕の場合、一つ目の、自分がゲイである可能性に気付くことについては、10代の頃から、男の人に性的関心を持つことに気付いていた。だから、自分がゲイである可能性に気付いたのは、結構早い方だと思う。

しかも「ゲイである可能性」といっても、女の人には関心がわかなくて、性的な関心が向くのは男の人ばかりだったから、当時の僕は、男の人のことを好きになる性質はほぼ確実なんだろうなと思っていた。女の人も好きになれるバイセクシャルでなかったら、将来結婚することは難しいだろうと考えていて、「僕は一生結婚しないと思う」と親に話して驚かせたこともある。

中学や高校でクラスメートが恋愛話をしている中、お前は誰が好きなんだと聞かれて、思い浮かぶのは同学年の男子や同じ部活の憧れていた先輩だけど、それを言うわけにはいかなくて適当に話を合わせてやり過ごす。そんな経験を通じて、自分がゲイである可能性に気付く人は多いんじゃないかと思う。

 

一方で、自分がゲイである可能性に気付くのが社会人になってから、という人もいる。これは想像でしかないのだけど、社会人になって初めて自分の性的指向異性愛ではなく同性愛だと気付くというのは、かなりの衝撃を受ける出来事で、それまで異性愛者だと思って組み立てていた人生設計を修正しなければならないのは、簡単には言い表せない苦労が生じるだろうと思う。

 

二つ目の、自分がゲイであると受け入れることについては、僕は30歳をすぎるまでできなかった。自分がゲイである可能性に気付いたのは早かったけど、異性愛者ではないにしてもバイセクシャルである可能性が残っていると信じていたし、女の人を愛することができないなら一人で生きていくんだと強がっていた。
その強がりは、結局30歳前後まで続いてしまった。これまでブログに書いてきたけど、やっぱり女の人ではなくて男の人を好きになるんだと実感する出来事があって、それから、一人で生きていくこともまた難しいんだと感じる出来事にも遭遇して、それで初めてゲイとしての自分を受け入れることができた。


たらればの話しだけど、ゲイである可能性に気付いた後、もっと早い段階で、インターネットとか、学生の頃だったらセクシャルマイノリティのサークルとかを通じて、同じ悩みを抱えている人に会って話をしていたら、僕ももっと早くゲイであることを受け入れることができたのかなと思う。SNSが発達した今より難易度は高いと思うけど、僕が学生の頃からインターネットでの交流もそういったサークルも存在していた。

誰か一人とでも、ゲイであることについて話せていたらというのは、今年に入って僕がゲイの人と直接会って話をする中で、とても、とても強く感じていることだ。悩みを自分で抱えているだけだと巨大な迷宮の中に閉じ込められたような心細い気持ちだったのが、ゲイの人と会って話をすることで青空を見渡すような開放的な気持ちになれる。そして、一人に話すことができたら、そこから次のステップに進むハードルはかなり下がっていることに気付けると思う。

ただ、自分がゲイであること(あるいはゲイかもしれないという悩み)を他人に話すのは、自分がゲイである可能性を受け入れて初めてできることのように思えるし、実際には中々難しいと思う。

だけど、もし僕が10代の頃に、今僕が読んでいるようなゲイブログが存在していたら、また違った選択をできたんじゃないかと感じている。ゲイブログなら、自分の情報を明かさずに他のゲイの人が何に悩み、どんなことを考えて日々暮らしているのかを知ることができる。そして、自分に近い価値観や考えを持ったブロガーさんがメールアドレスを公開していたりTwitterをやっていたら、その人に個別に連絡をとることもできる。そこから、開けていく道があるかもしれない。

このブログは、今の僕が書きたいと思ったことを書く場所として使っているけど、過去の僕に、ゲイである可能性に気付いても受け入れることができなかった頃の僕に読んでほしい文章を書きたいとも思っている。

この文章をあの頃の僕が読んだら、何を感じるだろうか。

 

fuchi00.hateblo.jp

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