fuchi's diary

都内在住のゲイの感じたこと、考えたこと

『カササギ殺人事件』の感想

今日はあまりの暑さにとうとう冷房を使い始めて、涼みながら読書してました。読んだのは『カササギ殺人事件』というミステリーです。友人からオススメされて手に取ったのだけど、2018年末に結構な話題になっていた本みたいです。

 

www.bookbang.jp

 

小説の前半は、アガサ・クリスティのオマージュになっていて、古典ミステリー的な雰囲気を楽しめました。アガサ・クリスティは『そして誰もいなくなった』とか『パディントン発4時50分』とか、有名なものしか読んだことはないけど、インターネットも携帯電話もない時代のミステリーは結構好きで(僕が好きなのはアイザック・アシモフの『黒後家蜘蛛の会』シリーズ)、この『カササギ殺人事件』もネットが発達する以前のミステリーの雰囲気をしっかり味わえて、面白かったです。

後半は現実世界(現代)のミステリーになっているのですが…ネタバレにならないように、読み終わった時の頭に残っていたことをいくつか書いてみます。

物語の終わりに女性編集者の主人公が、「わたしの新しい人生は、それまでの人生のアナグラムであり、もともとはどんな形をしていたのか、新しい人生を生きはじめたときにようやく見えてきたということだ。」と回想するシーンがあるのですが、去年から色々と変わりはじめた自分の生活を振り返って、考えさせられる言葉でした。

ゲイブログ的なポイントとしては、出番の多い登場人物に、ゲイの年の差カップルがいます(登場してすぐに別れてしまうのですが)。最近の小説に同性愛者が出てくることはそんなに驚くことじゃないのかもしれないけど、ゲイがどういう描かれ方をされているのか、つい注目しちゃいますね。この小説ではゲイに関することは物語のメインではないのだけど、それなりに丁寧に描かれているように思いました。

あと、僕がゲイであることを知らない友人が、ゲイが登場する小説を勧めてくれた、ということもちょっと嬉しかったですね。ゲイが出るかどうかは関係なく、面白いと思ったからオススメしてくれたんだと思うけど、それがかえって嬉しく感じます。

久しぶりにミステリーを読んで面白かったので、もう何冊か読んでみようかな。